《教室寸景》(高1・言語文化)「伊勢物語」古文劇

 高校1年の国語「言語文化」の授業において、「伊勢物語」を古文で朗読する劇づくりに取り組みました。3時間の授業の中で、原文と現代語訳を読み比べながら物語や和歌の内容を把握し、班で協力しながら、動作や小道具の表現に落とし込んでいきました。各班の発表の一場面と、生徒たちのコメントの一部をご紹介します。

◆芥川

 男に背負われた姫が、葉の上の露を差して「あれは何かしら?」と尋ねます。

 男は蔵の奥に姫を隠したものの、鬼が姫を一口で食べてしまいます。

《生徒のコメント》 

  •  芥川の物語では、自分で最初に読んだ時には姫が本当に鬼に食べられてしまったのかと思っていましたが、本当は鬼に食べられていなくて、そういう表現方法なのだということを班発表を見て知ることができました。読んでいるだけでは理解できず情景が浮かばなかった物語も発表を見て内容の理解も深めることができました。

◆東下り

 男たちが東国を目指す旅の途中、八橋に差し掛かります。

 都で見かけない鳥を見つけて、船頭に鳥の名前を尋ねます。

《生徒のコメント》 

  •  劇を行い、登場人物を友達が一つ一つ表したのでわかりやすく、自分が体験したかのような気分になり、感情移入もしやすくなりました。東下りでは、感慨深い/恋しい/懐かしいなどの感情から泣く場面が多く、私まで妙な気分になりました。そして、4つの話全て違うジャンル(恋愛系・ホラー系・旅行系など)たくさんの話が入っていて、とても楽しかったです。

 

◆筒井筒

 井戸の側で育った幼なじみの2人が結婚しますが、女の親が亡くなってしまいます。

 「いとよう化粧じて」夫の帰りを待つ妻の姿を、夫が密かに覗いています。

 《生徒のコメント》

  •  筒井筒は、幼馴染の女の子が浮気をされても一途に愛し続け、親が亡くなった時の悲しみがあったからか「男が生きているだけで幸せ」という思いがあるのかなと思いました。本当に愛しているからこそ、同じ気持ちでいることよりも、離れずにそばにいてくれることが安心なのだろうなと感じました。

 

◆梓弓

 都へ旅立つ夫と残される妻との、長い離別の始まりの場面です。

 3年ぶりに夫に再会した妻でしたが、最後は岩に歌を書いて絶命してしまいます。

 《生徒のコメント》

  •  梓弓では、女が男を追いかけて清水で倒れて指の血で歌を書いた場面で、女の夫への気持ちが強かったのがよくわかりました。そして、女が夫への歌を読んでも男は帰ってしまった場面で、男がどんな心情だったのかなと思いました。
  •  それぞれに想いが込められている和歌が多いなと感じ、和歌に綴られているのは本音のような気がしました。伊勢物語は恋愛系が多く、切ない感じが良かったです。昔の物語ということもあり、連絡方法や女性の身分など歴史的なところを知ることもできて面白かったです。

 今年の高校1年生たちとは、彼女たちが中学1年生の時にも古文劇に取り組んだことがあるのですが、その時から更に表現力・協力性ともにパワーアップした発表でした。劇づくりを通して、物語への理解も深まったようで何よりです。11月にはダンスコンクール(クラス全員で創作ダンスを披露する本校の恒例行事)も控えていますが、きっと今年も素晴らしい作品を披露してくれることと思います。ご期待ください。

(国語科 西亀咲江)

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