《教室寸景》(高2・教科横断)「半減期」

 期末試験後の補習期間を利用して、生物・物理・数学・日本史の各担当教員が協働して「半減期」の授業を3日間、5時間かけて行いました。普段授業をするなかで「もっとふれたい」「もっと深めたい」と考えている内容について、教員も生徒もじっくりと取り組むことをねらいとしました。今回は「半減期」を題材として、各教員が担当科目の関連するトピックを取り上げて授業を行いました。受講生は高校2年の生物基礎・物理基礎選択者です。 

 1時間目は生物担当の教員より、化石についての講義を行いました。そして、なぜ化石の年代を特定することができるのか、という問いかけをしたうえで、生物に含まれる炭素に注目すること、そして炭素には放射性同位体が含まれることにふれました。 

 これをうけて2時間目は物理担当の教員から、原子の性質について講義を行いました。映画『シン・ゴジラ』などを手掛かりにしながら、放射線崩壊や半減期について解説しました。 

 3時間目は、受講生が既習事項の振り返り・情報共有としてコンセプトマップを作成しました。そして4時間目の冒頭に班ごとに簡単な発表を行いました。 

 4時間目は数学担当の教員により、半減期をモデル的に理解するための授業を行いました。原子核の崩壊を、サイコロ100個を用いてモデルとして捉えるという実験を行いました。実験結果をどのように整理するか、グラフは直線であるべきか、フリーハンドであるべきか…、など、さまざまな思考を重ねながら理解を深めました。 

 そして5時間目は、日本史担当の教員により、半減期に着目した炭素14年代測定法について講義がありました。人文・社会科学の内容を理数の学習に取り入れる試みは、あまり行われていないように思います。しかし学問には本来、文理の壁はないということを、この時間に生徒も教員も確認することができました。 

 多くの学校教育では教科という枠組みが設定されており、それぞれの教科ならではの見方・考え方を生徒たちが養うことが求められています。いっぽうで現実の世の中にある物事は、どれかひとつの見方だけでは捉えきれないものがほとんどでしょう。両方の視点をもつことが、「学ぶ」という営為には求められているように思います。 

 この授業での学びを生かしながら、教員・生徒は冬休みを使ってポスター製作に取り組む予定です。

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