《教室寸景》(中2・国語)「平家物語・朗読劇」①

 今回は、中学2年生の国語で取り組んだ『平家物語』の朗読劇活動についてご紹介します。「祇園精舎の鐘の声」と、子どもの頃に暗誦したことがある方も多いのではないでしょうか。

 高校の古典では、語彙や文法などの学習が重要になってきますが、中学ではまず古典の言葉の響きに親しんでもらいたい。そこで、1学期は『枕草子』と『徒然草』の朗読劇化に取り組み、言葉のイメージを声や体や道具を使って表現する活動を行いました。2学期はその取り組みを発展させて、「登場人物の心情を表現する」ことをテーマに、『平家物語』の序段および「敦盛最期」の朗読劇化に取り組みました。

 どの班も創意工夫を凝らした発表を行い、時代を超えて、年齢や性別も超えて、中世の武士たちの心に近づこうとしていました。生徒たちのコメントの一部を紹介します。

【作品の内容について気づいたこと】

  • 平家物語には泣くという表現が多かったですが、一つ一つ「泣く」の意味も違うところが興味深かったです。 
  • 直実が、息子と同じくらいの年齢の青年・敦盛を殺してしまうのが辛かっただろうな、と思った。直実が感情を出しているのに、敦盛は冷静に対応していたのが、若いのに凄いなと思いました。

      

  • 私は今まで、武将レベルになるとみんな殺し合いに慣れていて、敵を殺す時に情なんて湧かないだろうと思っていました。でも直実が泣いている場面を読んで、普段はなんともないフリをしていても、辛くなることはあるんだなと思い、少し安心したと同時に切なかったです。 
  • 授業で初めて音読をした時は、どんな場面か理解することができませんでしたが、何度も読んだり、わからない言葉を調べたりしたら、状況を理解できるようになりました。そして、発表のテーマが登場人物の心情を表現することだったので、この時直実はどんな気持ちなのだろうと考えることができて良かったです。また、班のメンバーで場面や心情の解釈が違うところがあったので、同じ文章でもいろいろな捉え方があることに気がつきました。

      

   練習のために何度も繰り返し音読をすることで、生徒たちは少しずつ古典のリズムに慣れていきます。また、班のメンバーと物語の内容を教え合いながら練習することで、内容の理解を深めていったことが分かりました。自分の声と体を通して物語に触れた経験は、時間が経った後も、きっと何かを自分の中に残してくれることと思います。

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