《教室寸景》(中学2・3年・家庭)「ランチョンマット・クッション製作」

 コロナ禍の下でいかにして授業を成立させていくか…、とりわけ実技教科においてはそれが大きな課題として立ちはだかりました。

 そんな中で、生徒たちが学習に熱意をもって取り組むとともに、成果物をその後自分の暮らしのなかで愛用できるものにしたいと考え、昨年度の中学3年生では「2枚ペアのランチョンマットとマカロン型クッションを作る」ことを学習の課題としました。

 製作にあたっては、型紙作りや生地の選定・裁断の段階からすべて一から自分の力で取り組みました。製作開始当初の20211月の段階では、学校においてミシンを使うことすら大きな規制が伴っていましたが、まずは型紙作りから始めました。そして少しずつ教育活動が再開されていくなかで、布の購入、組み合わせる生地の色選び、生地の印付けと裁断、待ち針留めや本縫いと、できることを一つずつジグソーパズルのように進めつつ、ラストスパートをかけました。一人ひとりの進み具合はどのような状況か、完成したクッションは誰がどこで使用するか、といったことを生徒・教員で共有することにつとめました。

《型紙》

 ミシン縫いの基本については、実技練習課題付きのプリントを配布したうえで各自実践し、自分のミシン縫いの技術に自信をもってもらいました。

 また自宅で学習する時間が多くなった時期には課題を持ち帰り、しつけ縫いを進めました。わからないことがあったり、出席する機会が少なかったため補習を希望した生徒たちには、時間の許す限り2人の家庭科教員で昼休み・放課後にフォローを行いました。もちろんご家庭での温かい見守りやご協力があってのこと。そして何より生徒たちの頑張りが素晴らしかったのです。

 はじめは「授業がどんどん削られていく中で、作品の完成なんで絶対無理」とあきらめていた生徒も少なくなかったのですが、何とか全員が無事に作品を完成させることができました。「急がば回れ」「やればできる」。やり切ったときの生徒たちのキラキラした笑顔や自信にあふれた瞳を、私たち教師も忘れることはないでしょう。これからも、家庭科の授業を通して日常に生きる真の学びを追究していきたいと思います。

《完成したクッションとランチョンマット》

 授業実践の詳細は、「実践交流 一枚の方眼紙から型紙を起こして作るマカロン(回転焼き)型のクッション」として、『家教連 家庭科研究』369号に掲載されています。ご興味があれば、ぜひご覧ください。

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