《教室寸景》(高校1年・歴史総合)「歴史資料としてフランス国歌を読み解く」

 「教室寸景」では、聖ドミニコ学園中学高等学校におけるさまざまな授業を紹介していきます。 

 今年度より新しい高等学校学習指導要領が完全実施され、それに伴い新しい科目がスタートしました。「歴史総合」もそのひとつで、日本と世界の近現代史をさまざまな視点から学びます。

 歴史の学習というと人名や用語の暗記を思い浮かべがちです。しかし、当時の様子を伝える生の資料が持つ魅力を存分に味わい、それが今日の社会にどのように関わっているのかを考えることこそが、本来の歴史学習の醍醐味であり、「歴史総合」の学習の大きなねらいです。

 今回は、国民国家の成立を学ぶにあたり、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を取り上げた授業をご紹介します。生徒たちは配布された「ラ・マルセイエーズ」の歌詞を読み、実際に歌を聞いたうえで「①日本の国歌との違いを挙げてみよう」「②なぜそのような違いがあるのか、理由を考えてみよう」という2つの課題について考えました。考えた内容は次のようなコメントシートに記入して、後日教員からのコメントをつけて返却しました。

《大学のものを模したもので、その成果は平常点として評価しています。》

 この課題では、資料そのものと対話し、「こんな歌詞なのか!」と面白みを感じるとともに、さらには「なぜこんな歌詞になったのだろう」という考察につなげていくことに主眼が置かれています。生徒たちは、日本の国歌との違いや、曲調の特徴について記述していました。

 漫然と授業を聞くのではなく、「なぜ?」という問いをもちながら授業に取り組むことが、これからの学習においては必要です。そしてそれが、たえず変わりゆく社会において、常に考え、何かを創り出すことができる人の力となるでしょう。

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