9月 園長ブログ

 今年も暑い夏休みとなりました。コロナ禍以降初めて規制のない夏休みを、子どもたちはご家族の皆さまと一緒に気を遣いながらも楽しんで過ごせたのではないかと思います。

 9月の始園日も昨年度までの分散登園と違い、皆で集まることができました。日に焼けた子や身長が伸びたことのわかる子どもたちを、驚きと共に迎えることができた嬉しい2学期のスタートとなりました。
 身体の成長に比べ、子どもの心の成長は環境により大きく影響を受けています。もちろん子どもと関わる私たち大人は大きな影響を与える環境のひとつです。1才児を対象にした実験ではありますが、親子関係が与える子どもへの影響が見られた実験をご紹介します。同室で過ごしている母親(父親でもほぼ同じ結果)が子を置いて出ていき、一定時間をおいて入室した際の子の反応を観察したものです。

 ・確かな愛情を育まれた赤ちゃんは母親が部屋を出ていくと、はっきりと寂しそうな様子を見せ、戻ってくると嬉しそうに迎えてから、すぐに落ち着いておもちゃ遊びやその他の活動に戻るといった様子が見られた。

 ・無関心に近い関わりになっている赤ちゃんは母親の退出時も遊ぶことを中断することもなく、視線も合わせない。

 ・過干渉的な関わりになっている赤ちゃんは母親が戻ってきたときに不安定になり、泣いたり抱き着いたりして自分のしていた遊びにはなかなか戻れない。

 ・一律でない関わりになっている赤ちゃんは親の入室時の反応に一定性がなく、怖がったり、場合によっては抱き付きながらも体をそらすような様子も見せる。

  

 父親でも同様の反応が見られることから、母親特有というわけでなく、保護者と子どもの関係性の評価と言える実験結果が見えたそうです。
 どういった関わり方が正解かという事ではなく、赤ちゃんの気持ちに敏感に反応して、その要求に愛情をもって応じることの積み重ねが大切なことがよくわかります。幼児期になれば関わる人が必然的に増えていきます。常に要求を受け入れてくれていた家族に比べ、対等な立場のお友だち、保護者以外の大人である教師との関わりの積み重ねも、子どもの心の成長に多くの影響を与えます。出来ること、わかることが増えてくることに比例して心の動きも大きくなっていく子どもたちに、幼稚園では一人ひとりを受け止めて寄り添ってまいります。

 家庭でも赤ちゃんの頃と比べて、幼児期には子どもの要求を受け入れるだけでなくお互いの気持ちを伝えあう親子関係になってきます。自立に向けて見守るべき機会が増えることを理解して子どもの力を信じていくことが、子ども自身が安心して成長するための後押しになります。子どもにとっての良い環境となれるよう皆で協力していきましょう。

 

 

一覧に戻る
PAGETOP