園長ブログ

「神だけが人になりたい」

 

 ブラジルの小さな村、サンドミンゴ・ド・プラタ。ここに本会のシスターが数人住んでいます。最初は2人が住み始めました。学校も工場もない辺鄙な村。ここで成長し、読み書きも知らずに都会に出て行けば、物乞いをするか、盗むかしなければ生きていけません。自立し、人間らしく生きていくために、何が必要でしょうか?我々に何が出来るでしょうか?村の人々と一緒に住みながら、二年間、彼女たちは模索しました。二人のうちの一人は豊かな家の出身だったので、親類・知人に状況を説明し、寄付を募りました。それから通りへ出て行き、青少年男女に声をかけました:読み書きを覚えませんか?仕事を覚えませんか?食事を一緒にしませんか?人数はすぐに集まりました。

 こうして数十年経ちました。今ではここは活気に満ちた町になっています。青少年男女それぞれ3グループに分かれ、勉学の時間、労働の時間、レクリエーションの時間があり、食事の時間があります。労働は畠仕事、鶏、豚(赤ちゃんがいそうだったので覗こうとして板塀の上から身を乗り出そうとした私は、同じく身を乗り出した豚のお母さんと危うく鉢合わせ)、蜂、等々の飼育、それらの加工、パンも、ハムも、ソーセ-ジも、蜂蜜も、その他、何でも作ります。裁縫、調理も勿論学びます。お店も出しています。ここで育った子どもたちが今や先生となって、後輩を育てています。皆の目は希望に輝いています。誇らしげに作品を見せてくれました。

 

 冒頭の言葉は、女性の作業所の門から入口への小道に立っている三本の立札の最後のものです。順にご紹介しましょう:

一本目:「人は王になりたい。」

二本目:「王は神になりたい。」

三本目:「神だけが人になりたい。」

毎年、クリスマスの頃になると思い出す風景です。

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