【聖堂朝礼】灰の水曜日に

 2月13237分、福島県沖を震源とする大地震が起きました。福島県の震度6強をはじめ東北地方は大きく揺れて、大変なことになりました。海沿いでも内陸でもがけ崩れや土砂崩れが起こり、家の屋根や壁が壊れたりして、停電や断水もありました。真っ暗な中を、必死で高台に逃げた方々もあったそうです。東京も揺れましたから、皆さんも少し怖かったでしょうか。

 東日本大震災からまもなく10年が経ちますが、特に東北地方の皆さんは「あの日」を思い出して、身も心も縮む思いをされたでしょう。14()にも震度4の地震がありました。15()には低気圧が通過して福島県には暴風・大雨がありました。被害がさらに広がらないか心配になります。この日は和歌山でも震度4でした。

 私たちはこのところずっと、コロナウイルスの心配ばかりしてきました。今回は、大地震や大雨で避難する時にも、避難先で感染しないように注意しなければならないから大変です。みんなでお祈りをしましょう。

 

 さて、今日217()は今年のカレンダーでは「灰の水曜日」。私たちは神様の御業によって塵からつくられ、やがて塵に戻ることを思い出す日です。そしてこの日を境に「四旬節」に入ります。洗礼を受けたイエスさまが荒れ野で断食をしながら祈られた40日間を思い、いのちの初めと終わり、そしてイエスさまのご復活を思って、「祈り」「施し」「犠牲(断食)」を通して私たちもお祈りを重ねます。

 この40日がまもなく終わろうとする頃、空腹でつらいイエスさまを悪魔が「誘惑」する場面が聖書に書かれています。

 

 「あなたが神の子なら石をパンに変えてみなさい」「高いところから飛び降りてみなさい。神の子なら天使が助けに来るはずです」「あなたが私を拝むなら、この世界をすべて与えましょう」

 こんな意地悪な誘惑に、イエスさまは聖書に書かれている言葉ではっきりとお答えになります。

 「人はパンだけで生きるのではない。神さまのみことばで生きる」「神さまを試してはならない、と聖書に書いてある」「私が拝むのは神さまだけ」

いつも神さまに心を向けているイエスさまは、どの誘惑も退けました。そして、悪魔の姿は見えなくなりました。

 

 これから始まる四旬節。この40日の間に、私たちもいくつかの誘惑にかられるかもしれません。誰かに意地悪な言葉をぶつけたくなったり、先生から見えないところでルールを破りたくなったり、ちょっとごまかしてしまったり…そうすることで、自分の気持ちが晴れた気になるのだとしたら、それが誘惑。心が急に闇に包まれてしまう時、自分がどこに向かって歩いているかわからなくなっている時です。

 主の祈りの最後の部分、「私たちを誘惑に陥らせず、悪からお救いください」というのは「闇が私たちを襲うことのないように、光の子でいられるように」という今週の聖歌の歌詞と直結します。

 

 大震災などでまわりが真っ暗になったとき、どこかに光が見えたらきっと私たちは、光を頼りにして歩きだすと思います。私たちの周りには、すでに光があることに気づける私でありますように。そして、いつの日か私が誰かの光になれますように。そう祈る四旬節を過ごしたいと思います。

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