そこにも 奇跡が

 新年あけましておめでとうございます。元旦のすっきりとした青空に、穏やかな一年であるようにと祈りました。

冬休みの学校はひっそりと静かな毎日でしたが、12月24日の夜は賑わいました。学園聖堂に在校生や卒業生、保護者の皆様が主のご降誕を祝うミサに与ります。聖堂が建てられる前は修道院内の小聖堂でしたが、今の聖堂が献堂されて20年余り、今や500人を超えて集まるほどになりました。

 このクリスマスの夜に、毎年6年生男児が学校に一泊します。ドミニコを卒業するとキリスト教に触れることが少なくなる男の子たちには、本当のクリスマスを味わってもらいたい。そんなメール方の強い思いから始まったこの行事は、旧校舎の時代からずっと続き、今に至っています。

 ミサの後に一時間ほど、6年生は体育館で思い切り遊びます。この時間を体験した卒業生たちが今年も大勢集まり、時計の針を巻き戻したかのように童心に帰って、ともに過ごしてくれました。いつの間にか始まった、温かさにあふれるこの光景は、今ではドミニコの冬の風物詩となっています。

 昨1月9日には、第50回卒業生の「成人を祝う会」が行われました。ミサの後の記念撮影では祭壇前に晴れ着を着た新成人が並び、その華やかな姿に在学時の姿を重ねると、刻まれた時の流れの温かさを改めて感じます。

 クリスマスに卒業生が集まることも新成人が集うことも、このキャンパスで出会い、ともに過ごした子どもたちの思い出をもとに紡ぎだされたもの。誰かが準備したというより、誰かに呼び寄せられた奇跡的な、まさにエクレジア(教会の語源)そのものと言えます。人の力の及ばないところに、こうして神さまのご計画が目の前に現れます。

 昨秋、世界中の子どもたちがフランシスコ教皇に手紙を出して問いかけ、教皇がやさしい言葉で答えたものが一冊の絵本になりました。26か国から14の言語で256通集まった手紙の中から、30の対話が「フランシスコ教皇さまへ」(ドンボスコ社) にまとめられました。遠慮も飾りもない幼児児童の質問の一つに、9歳のペルーの子から次のようなものがありました。

「なぜ、前ほどたくさんの奇跡は起こらないのですか?」

そして教皇はやさしく答えます。

「今でもたくさんの奇跡が起こっています。…(中略)…人々の心を動かす良い行いの奇跡のような『日常の奇跡』があります。あなたも見つけることができるはずですよ」

 目の前にある温かさは誰かの力で作り出されたものではなく、神さまが私たちをそっと包み込んでくださった一つの奇跡。それを見つけることのできる柔らかさを、子どもたちは確かに持っています。子どもたちを光に、今年もご一緒に歩んでまいりましょう。

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