ほら、できたよ

 先日、新一年保護者会がありました。もう2カ月もすると新一年生が仲間入りをします。2年生以上の児童は心待ちにしていることでしょう。また6年生は中学生に進学し、新しい環境での生活が始まります。 聖ドミニコ学園もまた、来年は学園創立70周年を迎えます。この節目を迎えて「70の歴史を 100の未来に」の言葉のように、伝統を守りながら、新しい学園に向かって新たな一歩を踏み出してまいります。小学校の制服が来年度からリニューアルします。上着はブレザーからスーツスタイルに、またズボンの裾が10cm長くなりました。しばらくは新しい制服と現制服が混在し、すぐに目にはなじまないと思いますが、少しずつ慣れていくことでしょう。これから始まる新しい世界を楽しみにしながら、残りの学校生活の一日一日を大切に過ごしてほしいです。

  さて、東京都私立小学校児童作品展「ほら、できたよ」が3年ぶりに開催されました。この展覧会は東京都の私立小学校から約20校が集まり行われています。1986年に第1回が行われた時には参加校は18校、松屋銀座の2階にある片隅の一室で始まりました。2020年からコロナで展覧会が中止となり、今後の松屋銀座での開催が危ぶまれました。今年ようやく、再び児童展の開催を迎えることができ、元図工科でこの展覧会に携わってきた者として感慨深いものがあります。
 この作品展が第1回目から大切に守り続けてきたものがあります。それは、「あえて統一テーマは設けず、またコンクール形式も排して、自由な雰囲気を何よりも大切にする」ことです。そんな自由な雰囲気の中で、子どもたちの表現する喜びが色と形に託されて、個性のあふれる作品が輝いています。個人の作品が個性を発揮し、それが集合することで学年の個性を出しています。同じように学校全体で作り出される個性が会場全体の雰囲気を作り出しています。個の作品が他の作品と連動し、響き合っています。同じように子どもたちの個も子どもたち同士で影響し合い、お互いを高め合っています。「個性を大切にする」ことは、一人ひとりを大切にする教育です。その子の持つ光に子ども自身が気づくように、またより輝けるようにすることです。子どもたちから放たれる光で、その作品を見た人たちはエネルギーをもらい、心をいやされています。これからも展覧会が続くことを願っています。
 今回の聖ドミニコ学園小学校のテーマは「羽ばたけmy bird」。好きな形にデザインした鳥を、紙粘土を使って描いた作品です。子どもたちはそれぞれが色や粘土の付け方など工夫していました。ダイナミックな動きのある作品、どこまでも細かく色や形を追求した作品など個性があふれる作品ばかりでした。それぞれの鳥を見ると子どもたちが時間をかけて、大切に、丁寧に作っていることが分かります。目を輝かせながら制作に没頭している子どもたちの姿が目に浮びます。図工科の佐藤先生、諸先生方が、子どもの個性を大切にし、子どもたちに寄り添いながら指導してくださっているからです。それは、すべての人は神様から与えられたかけがえのない存在であるというキリスト教的世界観に基づいた教育そのものです。子どもたちは保護者のみなさまやわたしたち教員に見守られながら、目の前のことを一生懸命に取り組んでいます。そして様々な行事や発表を通して、「ほら、できたよ」と成長した姿を見せてくれています。

一覧に戻る
PAGETOP