待降節に向けて

 クリスマスは神のひとり子イエス・キリストの誕生を思い起こす日として、古くからお祝いされていました。クリスマスの4つ前の日曜日から、クリスマスを準備する期間を「待降節」と言います。待降節には、家族や身近な人のために、一日一善、何か良いことをするなど、イエス様を迎えるための心の準備をします。例えば、「どんな人にも笑顔で答える」、「困っている人の助けになる」、「おにぎり献金のように節約して募金する」など、自分以外のだれかに対して良い行いをすることがあげられます。だれかのためでなくても、「自分の苦手なことに挑戦する」、「自分から笑顔で挨拶をする」など身近なことでもいいでしょう。小学校の子どもたちは、自分の目標を決めて、毎日の自分を振り返り、霊的花束を作ります。それはクリスマス会の聖劇の中で、代表の児童が幼子イエス様にささげます。
 今世界は、戦争や紛争、地球環境問題などなかなか解決できない問題に直面しています。その世界の中でわたしたちには、本当のものを見分ける心、気づく心が求められています。それには自己中心的な考えから離れ、神様の愛と慈しみの心を受け入れ、他者への愛を行う生き方が必要です。今自分に何ができるかを子どもたちと一緒に考えていただく機会にと願っています。
 今年は12月3日()が待降節の第一の主日に当たります。この日に行われる「アドベントの集い」は、2年前のコロナ禍で学校に来られず、行事も行うことができなかった中で生まれました。このような環境の中で、皆でつながり、共に祈ろうというという思いは学園が在校生、保護者、同窓生とともにドミニコファミリーとしての絆を改めて感じ、暗闇を少しでも明るく照らす光となってほしいという願いからでした。今年は初めての対面での実施となります。学園教職員や保護者の方など、様々な方の力をお借りして実現することができました。学園に来られない方もLIVE配信を行いますので、ぜひご一緒にお祈りいたしましょう。

  さて、今年も、6年生は、宗教の総まとめとして天地創造からイエス・キリストの御降誕までを聖劇「メシアを待つ人々」を発表しています。11月から聖劇の練習を始めました。この聖劇には救いの歴史に欠かせないたくさんの人物が登場します。その中で羊飼いたちは、神様に選ばれ、だれよりも先に救い主イエス・キリストの誕生の知らせを受け、神のひとり子イエス・キリストにお会いするという恵みをいただいたのです。さらに、救い主が誕生したことを人々に知らせるという役割をも任されました。
 旧約聖書の時代、イスラエルでは、年に数回行われるお祭りで、神に感謝や悔い改めをするためにいけにえを、エルサレム神殿にささげました。親族や友人たちが集まり、ささげものをした後、牛や羊などの〝肉を食べる日”でもあったそうです。もともと羊飼いは良いイメージでしたが、何頭も羊を飼っていると、定期的な休みをとることはできません。羊飼いたちは、安息日(仕事を休み礼拝を行なうという律法)に従うことができませんでした。そのため羊飼いはユダヤ人たちに好まれない職業となっていたのです。貧しく、文盲と見下され、動物に触れる汚れた職業とされました。救い主イエス・キリストの誕生を天使から告げられたのは羊飼いでした。この羊飼いのように社会から排除される人々、病人や罪人にもイエス様は寄り添い、癒しました。
 クリスマスの日、わたしたちも羊飼いたちのように、神の恵みに感謝し、その恵みを自分の幸せのためだけにではなく、人々の幸せのためにも分かち合えることができますように。またイエス様に倣い人を排除することなく互いに尊重し、心に寄り添うことができますように祈りましょう。

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