学園祭を終えて

 昨年までの学園祭はコロナ禍のため、入場制限での開催でしたが、今年度は制限なくお越しいただくことができました。子どもたちの活躍の場を多くの方にご覧いただくことができ、たいへんうれしく思います。2学期に入って間もなくの開催ですから、短い期間で作品を仕上げることは、困難だったと思います。1学期から、作品発表のために、アイディアを練り、準備や制作、仕上げまで努力を重ねてきました。完成まで毎日計画的に実行していくタイプと、期日が迫ってようやくエンジンがかかり、たいへんな集中力とエネルギーで完成させるタイプがいます。どちらのタイプの子どもにとっても、作品を仕上げることはとても大切な経験です。計画的な子どもは、少しずつ努力を積み重ねれば、大きなことができると感じるでしょう。また追い上げ型の子どもは、自分にもできる、何とかなるという経験をするでしょう。次はもっと早くからとりかかろうと反省するかもしれません。どちらのタイプも、自力で達成することで自信になり、大きく成長していきます。
 さて、1年生は初めての学園祭で歌を発表しました。初々しさ、かわいらしさと同時に一生懸命に歌う姿に感動しました。前日のリハーサルでは、児童全員でステージ発表を鑑賞しました。1年生の歌が始まると「かわいい」という声が高学年の席から聞こえてきました。また6年生は自分のお世話係の1年生を探すように、熱心に見ていたことが印象的でした。
 1曲目の「1年生になりました」は聖ドミニコ学園小学校オリジナル曲です。ドミニコの音楽の先生でいらした鈴木敬子先生が、昭和56年に作詞、作曲されました。1年生が最初に教わる歌で、毎年の対面式でみんなの前で披露しています。この曲は、40年たった今でも大切に歌い継がれています。最後の曲「ウォーク・イン・ザ・ライト」の歌詞にある「自由になって光の中をひとつになって歩いて行こう」は聖ドミニコが歩んだ道であり、建学の精神である「真理を求め、自由に生きる」にもつながります。子どもたち一人ひとりがもつ光でこの世を照らし、神様の教え、真理の光を目指していく人になってほしいです。ダンスクラブもすばらしい発表でした。楽しく、ユーモアのあふれる作品で、みんなが楽しそうに踊っていました。ダンスの中にゲームの動きを取り入れたところもあり、すばらしいアイディア、すばらしい演技でした。
 4年生による劇「WAO! 気球に乗ってどこまでも」は、たくさんの風船の気球で日本中を旅し、各地の勉強をしながら風船を集めていく物語で、とてもユニークなお話でした。4年生のA組とB組が自分のクラスの成績や評価を自慢して、どちらが優れているか言い争います。気球に乗って、日本全国を回り、いろいろな地方のことを勉強して、どちらが上手に発表できるかを競うことになります。子どもたちは無事に全地方を回り終え、聖ドミニコ学園に戻ることができました。その後、社会科の発表の相談をしている時に、相手のクラスのことが気になり始めます。子どもたちは、様々な地方に行き、その地域の良さが集まっている日本のすばらしさを発見します。そしてA組にはA組の良さ、B組にはB組の良さがあるから、力を合わせれば、すばらしい発表ができるのではと気づきます。

 「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」とイエス様はおっしゃいました。「愛」には、広い意味がありますが、「理解すること」、「大切に思うこと」に置き換えて考えることができると思います。小学生にとって、つまり自分を愛することは、自分の良さや弱点を理解し、自分を大切にすることです。その上で、隣人である友だちの良さを理解し、大切に思い、相手を尊重し、よい関係を築いていくことになります。そして隣人同士は、互いに影響を与え、また助け合いながら成長していきます。
 学園祭のステージ発表だけでなく、すべての作品は、子どもたちが、友だち同士で関わりながら、時間をかけて作り、形にして発表したものです。作品を作り、完成させる中で、獲得した友だちとの信頼や自信、達成感は子どもたちを大きく成長させてくれることでしょう。

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