ラグビーの精神

 長い夏休みが終わり、いよいよ2学期が始まりました。久しぶりに子どもたちの元気な姿を見ることができました。今まで静かだった学校がにぎやかになり、自然に元気が出てきます。夏休み中には、旅行や体験教室と様々な経験をしたことでしょう。それは、きっと子どもたちの心と体を成長させる経験になり、さらに子どもたちの「生きる力」となることと思います。この力を家族のため、友だちのため、他者のために使うことは、「よく生きる」という小学校の目標につながります。子どもたちの行動をあたたかく見守ってまいりましょう。
 さて、今年の夏は台風による被害や猛暑など今までと違うと感じる気候になってきました。そして北海道では小学生が熱中症で亡くなる悲しい事故がありました。まさか北海道で起こるとは思わなかったので、とても衝撃的でした。今後も酷暑が続きますので、子どもたちが安全に、安心して学園生活を送れるように気をつけてまいります。
 7月17日から19日まで、男子は菅平高原でラグビー合宿を行いました。コロナ禍では宿泊行事が中止となり、昨年は3年生以上の男子のみの参加でした。今年度は男子全学年が参加することができました。長野の菅平高原は、数年前から気温が上がってきたと感じていましたが、今年はさらに暑さを感じました。10年ほど前は、日陰は涼しく、部屋にも冷房がなくても過ごしやすかったのですが、日本中が今までの気候とは違ってきているのだと実感しました。そんな中でも、子どもたちは暑さに負けず、元気よく、生き生きとプレーしていました。全面芝生のグラウンドでは転んでも痛くありませんから、子どもたちも思い切りプレーすることができました。1・2年生はタグラグビーといって腰の両側にタグをつけて、相手にタグを取られることでタックルされたことになり、立ち止まって味方にパスをしなければなりません。攻撃側は3回とか4回の攻撃権があり、その中でトライできれば得点になります。その間にトライできなければ、相手チームの攻撃に代わります。1・2年生には難しいところもありますが、1日目、2日目と、見る見るうちに上達していくのが分かります。子どもたちの目の色が次第に変わっていき、勇気を出してぶつかっている様子を見ると頼もしく思います。3年生以上は、タックルや当たりなど体をぶつけるプレーも練習していました。5・6年生は、モール(立ちながら、密集を作りボールを進めるプレー)やラック(タックルで倒された後にボールを保持するために密集を作るプレー)を試合形式で繰り返し行うことで、プレーに磨きがかかっていました。ひたむきに、目の前のプレーに全力を出している子どもたちの姿に感動しました。宿舎では高学年が低学年の面倒を丁寧に見てくれ、56年生には頼もしさを感じました。

 9月8日からラグビーワールドカップ2023フランス大会が始まります。日本代表はチリ代表と9月10日にトゥールーズで試合を行います。トゥールーズと言えば、聖ドミニコが司教に伴ってデンマークに赴く途中で宿泊した場所です。カタリ派の宿屋の主人と夜を徹して話し、カトリック信者に戻すという聖堂のステンドグラスにもなっている話です。聖ドミニコにゆかりのある場所でプレーするラグビー日本代表の活躍を信じて応援したいと思います。ワールドカップでの各国代表の激戦の中で、「One for all, all for one」(一人はみんなのために、みんなは一人のために)や試合終了を意味する「No side」の精神を感じると思います。「隣人を自分のように愛しなさい」とイエス様がおっしゃったように、自分だけのためだけではなく、人のために活動することと通じるものがあります。「No side」には敵も味方もないという、正にスポーツマンシップにふさわしい精神です。ラグビーワールドカップから、プレーだけでなくキリスト教にも通じるスポーツマンシップを学んでいきたいと思います。

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