【聖堂朝礼】ラウダート・シ週間

 今週も木曜日がやってきました。良い天気が続いています。皆さんお元気ですか? 
今週は、東京でも30℃ちかくまで気温の上がる日があって、暑さを感じるほどでした。昔に比べれば、夏の始まりが早くなったのでしょう、学校が始まっていたら、今月の初めに衣替えがあって、皆さんも夏服で登校している頃ですね。
 中庭をお掃除していたら、砂場の横を小鳥が散歩しています。黄色い花の上を白いチョウが飛んでいきました。季節は少しずつ変わっていきます。皆さんもおうちの近くで少しずつ景色が変わっていくのを見つけているかもしれませんね。

 さて、去年の11月に教皇フランシスコが日本にいらっしゃったのを覚えているでしょうか。あれから半年が経とうとしています。来日された時のテーマは「すべてのいのちを守るため」。この言葉の意味は広くて深いですね。皆さんが3学期に手話をつけて歌った「Protect all life」は、その時のテーマソングです。おうちでも練習したでしょうか。またいつか、全校で合唱できる日が来るようにと願っています。
 その教皇フランシスコは今から5年前、教皇に選ばれました。そしてその年の5月に教皇は、「ラウダート・シ」(主はたたえられますように、という意味です)という回勅(かいちょく)を世界に向けて発表しました。回勅という言葉は難しいですね。教皇から世界中の司教を通して、人々に向けてお伝えする「長いお手紙」です。今までの教皇も、いくつもの回勅を出されました。そしてどの回勅にも必ずテーマがあります。「ラウダート・シ」のテーマは「ともに暮らす家を大切に」でした。とても長いお手紙なので、日本語に訳されて本になるまでに1年ほどかかりました。 
 このテーマから皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。読んでみると、地球上の自然がこわされて、さまざまな「いのち」がおびやかされている今のようすに教皇が心を痛めていることがわかります。地球は自分だけの、あるいはどこかの国だけのものではありません。一つの地球にみんなが生きている、一緒に暮らしている、大切なおうちです。教皇は世界中の人々に、神さまがおつくりになったこの世界の、この地球の叫びに耳を澄まして、もっと大切にしましょうと伝えてくださいました。
 地球をわざとこわそうという人はいないでしょう。でも、気づかないうちにこわしてしまっているところがたくさんあります。石油を取り過ぎたり、森の木を伐り過ぎたり、使い切れないほどの物を作っては捨ててしまったり。そして、空気や水が汚されて、鳥やチョウが森から追い出されて、気がつけば自分たちの暮らしがうまくいかないことになっています。ここで、「自分だけは良い暮らしをしたい」「自分の国だけは立派にしたい」とみんなが思っているなら、動物や植物が生きられなくなったら、地球は人が生きられない世界になってしまうかもしれません。
 そして教皇がこの回勅で伝えたのは、地球の自然のことだけではありません。「ともに暮らす」地球で「ともに暮らしている仲間」を大切にしていますか?と呼びかけられたのです。病気の人、家族を亡くした人、戦争をしている国の人、家や仕事がなくなってしまった人、貧しい暮らしをさせられている人…。
 地球の自然を大切にすることと、人々の暮らしを大切にすることは、切りはなして考えるのではなくて一つのこととして考え、話し合い、助け合っていきましょう、「すべてのいのちを守る」ことの広さと深さを、大人も子どもも一緒に考えましょう、と呼びかけられたのです。
 回勅発表から5年目の今、516日~24日を「ラウダート・シ週間」として、世界中で改めて考えます。そしてできることから始めます。答えは一つではありませんが、一人ひとりが考え、応えることが大切なのです。

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