We protect・・・

 まもなく立春。今年は暖冬でしたが、やはり春の声を聞くことができると心が弾みます。子どもたちはマラソンや縄跳びなど、冬ならではの運動に親しみ、寒さを乗り越えてきました。互いに励まし合う子どもたちの笑顔は、私たちの宝物です。

 2月には公開授業やクラブ発表会、また男児ラグビーやバスケットボールクラブ、サッカークラブの試合もあり、学年の締めくくりに向けて学習面でも生活面でも、これまで蓄積した力を発揮する大切な時期です。それぞれに素晴らしい実りがあると信じています。

 さて、オーストラリアやアマゾンでの森林火災が報じられて数か月。降雨量の減少や乾燥が影響して、地面の下までもが未だに燃え続けています。貴重な森林が灰になっていく現象が温暖化によるのであれば、嘆くばかりでなく、グローバルな視野を持ってローカルに、身近なところから取り組む姿勢が私たちに求められています。

 また、中国の武漢に端を発する新型肺炎の広がりにも、皆さんは心を痛めておいででしょう。グローバルな移動が容易になった現代は、地球が一つの家であるかのごとく、欧米に、豪州に、アジアにと、世界各地に及ぶその広がりようには驚くばかりです。WHOが緊急事態宣言を発し、医療関係者をはじめ各方面の必死の努力が続いていますが、潜伏期間が長いこともあって収束の見通しはなかなか立ちません。武漢は、東京都に匹敵する人口を抱えた都市です。その全体を封鎖してまで、これ以上広げない努力を現地の方々は続けています。ただひたすらに、ご無事を祈るばかりです。

 小学校では今、音楽朝礼の場で6学年揃って、教皇フランシスコの来日テーマソング「Protect all life」を、手話を交えながら少しずつ練習しています。手話を活かすように全身を動かして思いを伝えようとする子どもたちのその所作は美しく、また頼もしいものです。歌い出しに「はるか 道の彼方 つながる世界…」とあり、「ぼくらは未来へ何を残せるだろう」と続きます。そしてサビの部分には「We protect…」とあります。人任せではなく自分の関わりにおいて、いのちを守る主体のうちに私たちがいることが、この歌詞には明らかに示されています。

 教皇は、ダボス会議に送られたメッセージでも同様に「真に統合的な人類の発展は、すべての人類家族のメンバーが共通善の追求の対象に含められ、すべての人がそのために貢献できてこそ可能となる」と語られています。

 地球規模の災害や疫病に出会っている今こそ、私たちすべてが未来へ残すべきものは何かを深く考える時です。交通も通信もグローバルにつながっている今、大人が未来へ目を向けて歩みだす一歩が、子どもたちの生きる力、希望、喜びにつながりますように。

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