託されている役割

 新年あけましておめでとうございます。東京の元旦はきれいな青空が広がり、穏やかな始まりでした。

 それにしても、5日の緊急地震速報には肝を冷やされました。茨城と富山で、わずか3秒差で地震があったため、一つの大きな地震として計算処理されたと気象庁が発表しましたが、揺れを引き起こしたエネルギーのもとは一つなのかもしれません。地震はまだまだ天気予報のようには予測が出来ませんが、異変を知る仕組みがあるのは有り難いことです。数秒前であっても身構える時を与えられ、備えることができます。しかし、そのひと時すら与えられないこともあります。ふだんからしっかり備えていきたいものです。

 昨8日の成人の日には、学園聖堂に第51回生が集まり、ミサに与りました。司式の田中神父様は説教の中で、「生きていく中でいくつかの節目がありますが、今日のこのお祝いは大人となる節目です。一人ひとりに掛け替えのない役割が託されていることを心に留めてください」と話されました。また、ご自身が見聞きされたいくつかの例を挙げられ、「車いすの方がいらっしゃるなら、いきなり後ろから押すのではなく、顔を合わせ、目を合わせてから手伝いを申し出る優しさを持ってください」と伝えてくださいました。

 さて、今年は戌年。犬が家族になっているご家庭も多くあります。犬は大昔から人間とともに歩む存在として、牧羊犬や救助犬、盲導犬、警察犬など、託された役割を果たす働きぶりは、誰かに喜んでもらうために尽くすことのできる存在の、一つの象徴と言えます。

 ドミニコで犬と言えば、母ホアナの夢にあたります。学園聖堂のステンドグラス最上段には、聖ドミニコを胎に宿して安らかに眠る母ホアナと、松明を咥えて走る犬が描かれています。この夢を見たホアナは、「これから生まれてくる子は、炎のような情熱を持って世界中を駆け巡るのだろう」と語ったと伝えられています。聖ドミニコ会800年祝いの記念ロゴに炎がデザインされていたのは、これが由来です。

 平和と一致のために、ヨーロッパの各地に自ら出向き、優しさを持って福音を語り伝えた聖ドミニコ。イエスに倣ったその働きこそ、神さまから託された掛け替えのない役割でした。その熱い情熱が多くの人の心に触れて仲間が集まり、800年以上続く修道会の歩みにつながっています。

 教皇フランシスコは先ごろ、被爆直後の長崎で、亡くなった弟を背負い、火葬の順番を待っている「焼き場に立つ少年」の写真をカードにして配布することを決められました。平和と一致のために、教皇も託された役割を今も実行されています。

 新年にあたり、自分に託されている役割は何か、まずは大人である私たちから考えを深めてまいりましょう。

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