祈り、集い、願う

新しい気持ちで3学期が始まり、子どもたちが張り切って過ごし始めた矢先に、フランスで起こった襲撃事件や日本人を含む人質問題には、皆様も心を痛めていらっしゃることでしょう。

教皇フランシスコはフィリピンに向かう機中で同行記者団に対して「人は誰も、自らの宗教の名によって、つまり、神の名によって、戦争をしたり、殺したりすることはできません」と語られました。バチカンにおいては、神の名によって暴力を正当化しようとする「宗教の曲解」を厳しく非難し、平和はただ神が与えてくださるたまものではなく、同時に個人と社会の義務であり、全ての人による「取り組みと関心」が求められるとも語られました。

在日のイスラムの方々も全国各地で、また首相官邸前では先日、仏教・キリスト教各派の宗教者がともに集い、祈りました。神のみ前に正しくあろうとする人は、どの宗教であっても命を、存在そのものを愛します。「愛の反対は無関心です」(マザーテレサ)の言葉通り、一人では生きていない私たちが他者の存在に無関心であってはなりません。お互いが違いを認め合い、他者を尊重して関わりを持つとき、そこに安らぎが生まれます。私たちも関係者の無事を願い、祈らずにはいられません。

さて、すでにお越しいただいた方もあるでしょうか、毎年恒例の「ほら、できたよ」(東京私立小学校児童作品展) が今、松屋銀座で開かれています (2月2日まで)。この作品展は今年で30回目を迎えますが、ドミニコでは「全員参加」の作品で出展を続けてきています。今回は学園60周年を記念して、全校児童約500名が紙素材の「花」を、お祝いの気持ちを込めて制作しました。全体デザインには3年生のアイディアが選ばれています。一人2ピースずつ作品を持ち寄り、合わせて約1000ピースの花が集まると、学園60周年をお祝いする図柄が見えてきます。一人ひとりの作品に居場所があり、色や造作が違うけれど、それぞれが寄り添い合って、喜びと安らぎを感じる作品となりました。500名の全校児童と、図工科の山下先生をはじめ関わってくださった先生方の感謝の祈りが集まり、形になったものということができます。

来月末には、60周年記念行事の最後を飾るコンサートが行われます。春休み中のため全員参加ではありませんが、小学校だけですでに約200家庭のご参加が見込まれます。園児から高校生までが集い、さらに卒業生や保護者の皆様も加わってのコンサートでは一人ひとりの歌声が集まって、感謝の心で平和を願う祈りになることでしょう。

学園の60年の歩みは、主イエスに倣う聖ドミニコが「対話」の心を携えて、愛を届ける人として生きた歩みをなぞっています。恵まれた日々に感謝し、学園に集う私たちが率先して平和を強く願い、ともに祈り続けましょう。

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