《教室寸景》(高1・言語文化)百人一首×フランス語

 10月中旬から11月上旬まで3週間、本校へフランスからの交換留学生が来てくれました。留学生の受け入れは四年ぶりです!そこで、高校1年生の言語文化の授業では、百人一首を日本語・英語・フランス語で学ぶワークショップを開催しました。 

 1時間目の始まりは「坊主めくり」でアイスブレーク。「坊主」をめくった途端、あちこちのグループから賑やかな声が上がります。

 次は車座になって、百人一首の中でも有名な歌をいくつか、原文・現代短歌訳(*1)・英訳(*2)・フランス語訳(*3)で輪読しました。留学生に読んでもらったフランス語訳の百人一首は、まるでシャンソンのような調べに聞こえます。

*1東直子『現代短歌版百人一首』(2023春陽堂書店)。
*2ピーター・J・マクミラン『英語で読む百人一首』(2017文春文庫)。
*3上記英訳を機械翻訳で仏訳した。 

 2時間目は、身体を使って百人一首の和歌を表現するグループワークに取り組みました。それぞれの身体表現が、和歌のどの部分をモチーフとしているか想像してみてください。

(1)逢ひ見ての後の心にくらぶればむかしは物を思はざりけり

(2)あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかもねむ

 

(3)花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

 

(4)忍ぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで

 

(5)吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐と言ふらむ

 最後の3時間目は、iPadを用いて百人一首の絵札をデザインする活動を行いました。制作した作品群はプリントして小冊子を作り、留学生へ記念の品としてお渡ししました。

 百人一首の良さは、文学史的な文脈の中だけでなく、一首独立した作品としても楽しむことができる点にあります。そして今回は身体表現や視覚情報を用いたことで、言語の違いを越えて百人一首の世界に親しむことができたのではないでしょうか。いつかまた生徒たちが国際交流の機会を得た時に、古典文学などの日本文化を紹介することで、海外の人々との相互理解を深める契機となることを願っています。

(国語科 西亀咲江)

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