上智大学講演会②
12月5日の講演会後に第二部として行われた、西澤先生を囲んでの交流会の様子をお伝えします。第一部の様子は、こちらの記事をご覧ください。
生徒 西澤先生のご専門である経済学の面白さを教えてください。
先生 経済学は「成長」がキーワードの学問です。個人も企業も国も、成長過程にこそ「幸せ」を感じるのではないでしょうか。その「幸せ」を探究し、「成長」(=明るい未来)を具体的に考える学問であることが、経済学の面白さだと考えます。
生徒 学生に望むのは、どのようなことでしょうか。
先生 「一歩を踏み出す勇気」ですね。若いみなさんに伝えたいのは「失敗と思い込んでいることは、実は貴重な経験。何もしないことこそ失敗なのだ。」ということです。
生徒 西澤先生は、読書の大切さについてお話しくださいました。そこで自分自身を振り返ると、確かに本を読まなくなった、と思います。通学時間の30分間に読むくらいでしょうか。物語に浸る時間が少なくなっていることに気づかされました。
先生 物語に浸る、とは良い視点ですね。短時間でも没頭することは大事ではないでしょうか。書物を通してものの見方や考え方が変わり、他者を理解することができ、自分の考えも生まれるからです。
生徒 西澤先生のお話の中で「first languageの大切さ」「home groundへの意識」が心に残り、今、勉強している「現代文」が重要なのだと、改めて考えました。
先生 確かにそうですね。日本語力を高め、日本語の資料をしっかり読み込める能力が、会議など重要な場に臨んで物事を進めていく時に必要とされます。だからこそ、15分、30分でも紙ベースで本を読んで、知的体力を日々鍛えて欲しいですね。
生徒 進路について思案中なのですが、先生は、どのように進路をお決めになったのでしょうか。
先生 進路…、決められなかったなぁ。迷いながら、でしたよ。でも、迷うことが、むしろ大事なのではないでしょうか。ただし、1人で苦しまないで、本と出会い、人と語らってbetterなところへ進んで欲しいですね。
生徒 西澤先生がお考えになる「優秀な学生」とは、どのような人でしょうか。
先生 優秀な学生は、目が輝いています。意欲的で、好きなことや面白いと思うことを活き活きと語る人は、とても魅力的です。社会においても、一貫した姿勢と共に新しい視点を持ち、行動力のある人が、優れた人といえるのではないでしょうか。
生徒 時間の使い方が上手くありません。
先生 人が集中できるのは、20~30分だそうです。その後、20分休むことが人間の生理にかなっているとか。20分勉強したら、20分の休憩をはさむのをルーティンにしてはどうでしょう。また、朝、やるべきことに取り組むのも良いのではないでしょうか。一番、頭がクリアだと感じます。
生徒 土日をはさむと勉強の気力を取り戻せず、くじけそうになります。何か工夫があるでしょうか。
先生 やりたくないけれど、やらねばならない。どうしたら良いか?これについて考えることは、将来、きっと役立ちます。楽しい仕事が巡ってくるように、苦しい仕事を楽しくこなすことが大事だからです。そこで、先ずは、やりたくないことをやらないという選択肢はない、と考えましょう。次に、嫌なことこそ最初にやりましょう。先程もお話ししましたが、朝一番がお勧めです。さらに、つらいことはずっとやろうとしないで、時間を決めて取りかかりましょう。20分サイクルで、黙って取り組む時間と休憩時間を交互にしてはどうでしょうか。
生徒 日本の教育に対して、お考えを聞かせてください。
先生 長文を読み取る力を養って欲しいと願います。多くの情報を速読する力は、意図的に鍛え続けないと衰えてしまうのです。大学の入試問題についても、長文を読み解く力が大事だと考えています。ぜひ、日々の読書を通じて、長文に慣れ、要点をつかむ力を身につけてください。懸命に取り組んだら、積極的に休むことも必要で、短時間の昼寝はお勧めです。20分以上経過すると熟睡してしまうそうですから、5~10分のうたた寝をして脳内を整理し、課題の効率を上げましょう。自分なりの方法を見つけて、苦手を克服していけると良いですね。最初の質問への答(=経済学は成長をキーワードに、幸せを探究する学問である)に繋がるのですが、迷ったり、悩んだりしながら「成長のサイクルを思い描ける人が、幸せになっていく」のだと思います。みなさん、がんばってください。
西澤先生は、生徒たちの迷いや悩みに寄り添ってくださり、さまざまな角度から今後の「生き方」について多くの示唆をお与えくださり、前向きに進むことができるよう、導いてくださいました。この場を借りて心からお礼を申し上げます。ドミニコ生は、多様な進路を自ら選択して巣立っていきます。いずれの道に進んでも、西澤先生の言葉を胸に成長してほしいと願っています。
(進路指導部 伊藤)