• 学校長ブログ

「誰かのために」が育む姿

爽やかな五月の風に混じり、時折ハッとするような汗ばむ陽気の日が増えてまいりました。校庭の木々は青葉を茂らせ、間近に迫る梅雨を前に、力強い生命力をみなぎらせています。
振り返ればこの五月は、本校にとって「心」と「体」を大きく使う、実り豊かな一ヶ月でした。

5月20日の「マリア祭」では、マリア様の慈愛に触れ、自分の心を見つめ直し、他者を思いやる「静」の時間を過ごした子どもたち。その大切な心の節目を経て、五月の締めくくりに、4年生と5年生は林間学校という「動」の体験へと向かいました。マリア祭で培った相手を大切にする心を、今度は大自然や社会という実践の場でどう生かすか。この祈りと行動のつながりのなかに、本校が目指す教育の姿があります。

本校では、「よく生き、たくましく生き、愛し愛される人へ」という教育目標を掲げています。ここで言う「よく生きる」とは、単に自分が優れた力を身につけることだけを指すのではありません。日々の学習や体験を通して得た力を、自分のためだけでなく、まわりの人や、他者のために使うことができること。これこそが、私たちが最も大切にしている「よく生きる」姿です。

私は今回、4年生の林間学校に同行し、子どもたちのなかにこの目標が美しく息づいている瞬間を何度目にしました。
まかいの牧場での体験学習でのことです。子どもたちに課されたのは、干し草に糞の混じったヒツジやヤギの小屋の掃除でした。最初は特有のにおいに鼻をつまむ姿も見られましたが、いざ作業が始まると、誰一人嫌がることなく一生懸命に箒や塵取りを動かしていました。その後のふれあいタイムで、生まれたばかりの小さな仔羊を愛おしそうに見つめ、そっと撫でる子どもたちの優しい表情。生き物を大切にし、その命が心地よく過ごせるようにと自分の体を使って働く姿に、確かな「愛し愛される人」への成長を感じずにはいられませんでした。また、カレー作りでも協働の姿がありました。薪になかなか火がつかず苦戦する班もありましたが、お互いに声をかけ合い、知恵を絞り、全員でその壁を乗り越えていきました。

5年生は林間学校に先立ち、「グローバルスタディーズプログラム」を実施しました。5.6人の児童に対して一人の留学生がグループに入り、最終日には全員の前で、英語のタレントショーとしてパフォーマンスを披露する挑戦をしました。
講師の先生が楽しく全体を盛り上げるなか、子どもたちは自分の得意なダンスや空手、お手玉などを披露しながら、一生懸命に英語で伝えようとしていました。普段はどちらかといえば大人しい児童が、身ぶり手ぶりを交えて必死に、かつ楽しそうに表現している姿には胸を打たれました。
「自分の殻を破って、相手に伝えたい」という強い気持ち。これもまた、自分の力を他者とのつながりのために使う「よく生きる」姿そのものです。プログラムの最後には、わずか2日間でしたが、深い絆を結んだ講師の先生方との別れを惜しみ、涙を流す児童も多く、本当に素晴らしい時間が流れていました。

どの学年においても、私たちはこうした体験を大切にしています。現代はデジタルで手軽に答えが見つかる時代だからこそ、思い通りにいかない自然や、言葉の壁を乗り越える生身のコミュニケーションという試行錯誤の価値が高まっていると思います。
教育において、結果の成否以上に大切なのは、昨日までの自分を一歩超えようとした足跡です。
行事や活動を終えた子どもたちの表情は、どこか一回り逞しく、大人びて見えます。ご家庭におかれましても、お子さんが誰かのために頑張ったこと、新しく挑戦した歩みを、ぜひたくさんの言葉で褒めてあげてください。大人からの「認められた」という実感が、子どもたちの心に次の一歩を踏み出す自信の光を灯します。
梅雨を迎え、体調管理にも気を配る時期となりますが、六月も一人ひとりの「よく生きよう」とする歩みを、ご家族の皆様と共に温かく見守り、その成長を喜び合いたいと思います。

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