• 学校長ブログ

『創立70周年を迎えるにあたって』

今年2024611日は創立記念日です。今年で70周年を迎えます。70年前に生まれた聖ドミニコ学園の建学の精神は「真理を求め、自由に生きる」です。小学校では小学生にも分かり易いように「よく生き、たくましく生き、愛し愛される人」を教育目標としています。さらに低学年は「基礎基本を身につける」、中学年は「自ら進んで行動する」、高学年は「自覚と責任を体得する」としています。そこには、聖ドミニコ学園の創立に携われたメール・マリア・ベネディクタ武田先生の体験や考えが反映されています。

武田先生から学園設立のお話を伺い、戦時中に排除された英語教育のため、当時の学生だった世代は基礎をきちんと学んでいなかったため、後から英語を習得しようとしても非常に困難だったことを知りました。そんな中、先生は将来どうなっていくのかとても不安を感じていたそうです。だから学校設立にあたって、基礎基本のしっかりした土台があり、自主自立していく道を思い描いたのでしょう。

教育は家づくりに似ていると思います。それは、私たち教師が子供たちの家を作っているのではなく、子供たち自身が自分の家を作る指導や手伝いをしているイメージです。基礎となる土台や柱を時間がかかるかもしれませんが、しっかり作っていくことで災害などの困難にぶつかっても簡単に壊れない家になります。教師といえども子供たちの家を作ってあげることはできません。ただ教師は作り方を教えたり、見守ったり、時には作っている姿を見せたりしながら子供たちの家づくりをサポートしているのです。土台や柱ができたら、子供たちは自分たちでどんな家にするか考えていきます。壁の色、屋根の色、内装をどんなふうにしようかなど、自分で考えてそれを作っていくでしょう。家が建てば町ができ、他の家、他者との関係の中で自分が見えてきます。そして人は一人では生きていけないので、近所付き合いの中で自分の役割が生まれてきます。

 基礎基本の考え方は学習面、生活面、身体面、精神面すべてに通じています。土台や骨格や心の芯がしっかりしていないと人は簡単に崩れていきます。反対にそれがしっかりしていれば、多少壊されても簡単に修復することができます。

 武田先生は、「人は皆違っているから、それぞれ自分の役割があるのです。自分の事だけを考えるのではなく、自分の関わる人が良いように自分ができることを行うことが大切」と仰いました。自分の立場や才能、能力、技術を自分のためだけでなく他者のために使うことのできる人を育成していくことが聖ドミニコ学園で働く人の使命です。子どもたちに寄り添いながら、子どもたちの一人ひとりが生き生きと学校生活を送れるようサポートしていきます。

 いよいよ創立70周年を迎えます。「70年の歴史を100の未来へ」のキャッチフレーズのように今までの聖ドミニコ学園の歴史を大切にしながら、30年先を見据えて学園をより良く変革するためのスタートの年にしていきたいと思います。