• 学校長ブログ

『お言葉通りになりますように』

1年生は88名が入学しました。少し緊張していた入学式から、およそ3週間が経ち、小学校生活にも少しずつ慣れてきたようです。「校長先生、おはようございます」と、元気のよい声で、毎朝あいさつしてくれます。あいさつはコミュニケーションの第一歩ですから、聖ドミニコ学園小学校ではあいさつを大切にしています。これは4月の目標にもなっており、1年生にとっての初めの目標でもあります。「気持ちのよいあいさつをしましょう」という目標は、敢えて「気持ちのよい」と表現しているところが重要です。あいさつはひとつの感情表現の場所であり、何気ないあいさつの中で、受ける側は相手がどのような気持ちであるかを自然に感じとっています。「今日も元気だな」「今日は元気がないな」と言葉の調子や表情から感情を読み取っています。「おはよう」というあいさつが、単に言葉のやり取りに留まらず、互いの感情が伝わっていることを認識することで、相手を意識したあいさつをしなければならないと理解できます。それが「気持ちのよい」あいさつなのです。「自分が人にしてほしいと思うことを人にもそのようにしなさい」とイエス様はおっしゃいました。「自分がされて嫌なことは人にするな」という考え方もありますが、キリスト教では「しない」ではなく、他者に対して実行する、行動することが重要であると教えています。

 

5月はマリア様の月でもあります。春の訪れとともに、四季の中で自然界の実りをもっとも感じさせてくれるのが5月です。そして主の復活の喜びと希望に満ちた月でもあります。マリア様は人間でありながら、神様の特別な恵みを受けて救い主・キリストの母となるために選ばれました。神様に心からの従順を示し、キリスト信者の生き方の模範として、さらに神様に取り次いでくれる助け主として特別に崇められてきました。そのような思いをもってこの月をマリア様にささげ、祈ることが伝統として行われてきました。小学校の5月の目標である「美しい心」は、神様に従って生きておられたマリア様の心にわたしたちが倣っていくことを目標にしています。マリア様は神様の計画によって、大天使ガブリエルから神の御子を産むと告げられます。その様子が聖書の中で書かれています。

 

さて、6カ月目に、ガリラヤのナザレという町の一人のおとめのもとに、み使いガブリエルが、神から遣わされた。このおとめはダビデ家のヨセフという人のいいなずけで、名をマリアと言った。み使いは彼女のところに来て、「恵まれた者、喜びなさい。主はあなたとともにおられます」と言った。この言葉を聞いて、マリアは胸騒ぎがし、このあいさつは何の事であろうかと思いまどった。すると、み使いは言った。「マリア、恐れてはなりません。あなたは神から恵みをいただいたのです。あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その名をイエズスとつけなさい。彼は偉大な者となり、いと高きおん者の子と呼ばれます。神である主は、彼にその父ダビデの王座をお与えになり、彼はヤコブの家をとこしえに治め、その治世は限りなく続くでしょう」。……中略……マリアは、「私は主のはしためです。おことばどおり、この身になりますように」と答えた。そして、み使いは彼女から離れ去って行った。

(ルカによる福音書12638

 

マリア様は「お言葉どおり、この身になりますように」と神様にすべてを委ねました。神様を心から信じて、これからの事に対する不安や恐れを払拭し、運命を受け入れています。神様は、私たちにとって最善の事を計画しておられます。自分が予想していないことでも、そこに何か意味があり、自分の使命があるのです。

 

耐えられないような試練にあなたがたを遭わせるようなことはなさらず、むしろ、耐えることができるように、試練とともに抜け出る道をも用意してくださるのです。(コリント人への第一の手紙1013

 

「どうして自分にこんな事が起こるのだろう」と、つい嘆いてしまいがちです。自分は運が悪いとネガティブに捉えてしまいます。これは神様が自分に与えた試練であり、それを乗りこえることができたら、自分は成長できると捉えれば、その事には大きな意味が生まれます。神様の「お言葉どおりになりますように」とマリア様に倣い、何事も前に向かって進むよう心がけたいものです。