『歌の力』

9月21日(土)・22日(日)に行われたドミニコファミリーフェスティバルは、学園と後援会そして同窓会が力を合わせ、創立70周年の記念事業として開催されました。学園に在学しているご家庭、また受験を考えているご家庭など多くの方がお越しになり、たいへんな盛り上がりを見せました。後援会、並びに同窓会の役員、クラス委員の皆様、またお手伝いいただいた保護者の皆様、本当にありがとうございました。おかげさまで参加された方の心に残るすてきなイベントになりました。

また、多くの卒業生が訪れてくれました。久しぶりに懐かしい顔に会うことができ、うれしい気持ちになりました。卒業生たちが、学園を故郷のように感じてくれている思い、わざわざ学園を訪ねてきてくれた思いを考えると、本当に感慨深いです。小さかった頃の面影がある卒業生はすぐに名前が出てくるのですが、成長して立派になった姿に初めは誰だか分からず、話をしている中で、だんだんと小学生の姿が浮かび上がってくると、「あーっ」と感嘆の声とともに過去と今がつながります。心の奥がほんのり温かくなる幸せなひと時でした。

フェスティバルの小学生たちは、たいへん良くがんばりました。歌の発表をした1年生は、大勢のお客様の前で緊張していたと思いますが、みんな笑顔で楽しく歌っている姿は初々しく、かわいらしさにあふれていました。1年生の当人たちは真剣そのもので、先生に教わった通り、だんだん強く歌ったり、やさしい声で柔らかく歌ったりと表現の幅を広げ、成長した姿を見せてくれました。みんなで心を合わせて歌うことは、大きな声や元気な声を出せばいいだけではなく、そろった美しさや力強さが大切だと分かった児童もいたことでしょう。

1曲目の「1年生になりました」は、聖ドミニコ学園小学校オリジナル曲です。聖ドミニコ学園小学校の音楽の先生でいらした鈴木敬子先生が1971年に制作した曲です。毎年、1年生が覚える最初の歌で、対面式などで披露しています。一生懸命に振付をしながら歌う姿は、本当にかわいらしかったです。鈴木先生の作ってくださったこの「1年生になりました」の曲は、50年もの間、今でも大切に小学校で歌い継がれています。

「チキチキバンバン」「楽しい雨」は1960年代に映画音楽やみんなのうた、ママと遊ぼうピンポンパンなどの番組で歌われていました。わたしたちの世代にとって幼少期に見た記憶のある懐かしい番組です。知っている歌を一緒に歌えたことで、不思議さと嬉しさが混在したような気分になりました。「ドミニク」と「ウォークインザライト」の歌は、キリスト教に関連したものです。聖ドミニコの当時の様子や「心やさしく、強い人」と性格までもが歌詞になっています。神の教えを守り、人々に神の愛を伝えたドミニコの人生を子どもたちは歌を通して学んでいます。今回の1年生・4年生発表を聴いて特に感じたのは、歌のもつ力です。世代の違う者同士が同じ歌を歌えること、伝承していけることがすばらしいです。

4年生の劇「ザ・ライオンキング」は舞台衣装や舞台装置、劇の構成がすばらしく、舞台の演技やダンスも小学生が演じていることを忘れてしまうほど作品に没頭して見ていました。劇中で全校児童が歌の協力をして、スケールの大きな舞台を盛り上げました。その迫力は言葉で表すことが難しいですが、体の中を音が響きながら通り抜けていくような、音に心が共鳴している感覚を覚えました。子どもたちもどこか高揚していて、いつもの子どもたちではないような不思議な感覚がありました。とにかくエネルギーの塊のような舞台で、とてもすばらしかったです。

  行事は自分自身を発表する機会です。立てた目標に向かって、自分の制作や練習を積み重ねていきます。練習を積み重ねること、見られることを意識して表現することで、自分なりに満足感や達成感を味わいます。そして人から良く評価された人は嬉しく、あまり良い評価をされなかった人は自分で悲しみやくやしさの中で反省して、今度はがんばろうと次の発表に向けての意欲が沸いてきます。いい作品を作ろうとして、友だちと意見がぶつかったり、あるいは協力して共に困難な状況を解決したり、様々な経験をしながら、大きく成長しています。私たち大人は、他の子どもと比べる必要はありません。そして結果だけを取り上げて評価することがないように、子どもたちの積み重ねてきた厚みこそが、子ども自身の成長です。その子らしく成長できたことを共に喜びましょう。

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