よく生き、たくましく生き、愛し愛される子どもに

 1016() メール マリア トマシナ 宮城千鶴子先生が帰天されました。宮城先生は聖ドミニコ学園に赴任されてから、中高の音楽を教えてくださり、中高の校長、小学校の校長、幼稚園の園長も務められました。10年前に学園長に就任され、病で退かれるまで学園のため、そして子どもたちのためにお力を尽くしてくださいました。いつも笑顔を絶やさず、わたしたちをあたたかく見守ってくださいました。神さまの御許で安らかに過ごされるよう、ともに祈りましょう。

 聖ドミニコ学園の建学の精神は「真理の探究」ですが、この言葉は小学生には理解することが少し難しいでしょう。そこで、小学校の目標を「よく生き、たくましく生き、愛し愛される子どもに」という分かりやすい言葉で作ってくださったのがメール マリア トマシナ 宮城先生です。
 「よく生きる」とは、「隣人を自分のように愛しなさい」とイエス様がおっしゃったように、自分のためだけではなく、人のために何かをしたいと考えられる生き方のことです。「だれかのために」という思いは、自分のためだけに使う力よりも大きく、強固なものになります。そして自分の持っている能力やアイディア、体力、時間などを人のために使うことで、人との信頼や友愛を生みだします。そして他者のためになること、人が喜んでくれることは自分自身の喜びとなり、人生を豊かにしてくれます。

 「たくましく生きる」とは、何があっても自分を見失わないことです。自分自身が理解している自己は希薄で頼りないものです。他者との関わりのない閉ざされた世界で生きなければならないなら、どんなに不安で頼りないものに感じるでしょう。それよりも、家族や友人など多くの人との関わり、また神様との関わりから形成される自己は堅牢で明確です。自分よりもむしろ家族や友人の方が自分を理解してくれていることが多々あります。人との関係性の中で形成される人格、それとともに勉強や体験を通して身についていく正しい知識や技能の双方が大切だと考えています。それを使って、自分に起こる事象を正しく判断して進むべき道を選んでいき、そして自分で決断して行動できることが「たくましく生きる」ことです。

 「愛し愛される人」の育成は最大の目標です。周囲から多くの愛を受けると、子どもたちは友だちをはじめとする他者を愛することができるようになります。子どもたちは誕生すると親の愛情をたっぷり浴びて育ちます。「愛情」とは、子どもにものを与え、大切に思う気持ちのことです。その気持ちがきちんと伝わることで、子どもは自分が愛されていると実感します。しかし愛情が不足している、または自分の気持ちに添っていないと、子どもはそれを感じることができません。愛情を他者に向けられるようになるには、自分自身の中に愛情が十分に満たされる必要があります。それはご家族の愛、教師、友だちの愛、そして何よりすべての人を愛してくださっている神様の愛を感じとる心が必要になります。毎日のお祈りや宗教の時間、宗教行事はその感じる心を育てる大切な時間になっています。

 そして愛情を十分に受けた人は、今度は他者に思いやりの心を向けることができるのです。家族や友人、教師の困っている様子に気づき、声をかけ、手助けをすることができるようになります。頭で考えるだけでなく、それを行動に移すことができるようになります。行動したり自分を表現したりするには、恥ずかしさを乗り越えること、そして少しの勇気を出すことが必要です。
 5・6年生が行っている毎週の奉仕活動では、他者のために自分ができることを考えながら活動しています。そして6年生は1年生のお世話係を経験することで、自分が頼られる存在になり、愛情と責任を感じながら「愛する」ことを表現する体験をしています。
 「よく生き、たくましく生き、愛し愛される子ども」を目指して、子どもたちは学びや遊びを通して、大きく成長しています。ご家庭や教職員の愛に包まれながら、神様から与えられた使命に気づき、他者のために自分の力を使っていくことを願っています。そしてメール マリア トマシナ 宮城先生もあの太陽のような笑顔で見守っていてくださるでしょう。

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