痛みも喜びも分かち合って

 あの事件から一か月が経ちました。カリタス小学校の皆さんにとって長くつらい日々だったことでしょう。

 18年前の6月、大阪の池田小学校での事件は、学校が警備員に守られるようになった契機となりました。今回の事件からは、広い範囲での見守りが必要な時代となるのかもしれません。

 学園では後援会の皆様を中心に多くの保護者が学部を超えてバス乗り場を見守ってくださいました。教職員だけでは担えないところに進んで手を差し伸べてくださり、大きな安心となりました。改めて感謝申し上げます。

 6月下旬からは、各方面に警備の方が来てくださっています。引き続き私たちも、できることを考えながら、子どもたちの安全につながるように努力したいと思います。

カリタス学園の卒業生で、ノンフィクションライターの飯島裕子さんの記事を読みました。あの日、「愛」の学園に育った子どもたちが、自分も怪我を負っているのに、より深い傷を負っている友を気遣っていたことに感銘を受けたそうです。そして、やりきれない怒りは自分の中にもあるけれど、恐れや怒りによって世の中に分断が生じるのは避けなければならない、と綴られています。読者の一人ひとりに、深い問いかけをなさいました。受け止めるのは私たちです。安全のために守りを固める努力と同時に、分断ではなくつながりを深める努力もまた、私たちに求められています。

 さて、振り返れば6月は、学園のつながりを感じる行事が立て続けにありました。2日の「後援会奉仕活動」では、数百人が集まってキャンパスの隅々にまで手作業で掃除をしてくださいました。9日の「同窓生の集い」では200人以上の卒業生が集まり、懇親を深めました。1回生のご参加もあり、嬉しいひと時となりました。11日の創立記念日には「65周年記念感謝ミサ」がありましたが、伴奏・合唱を託された管弦楽部や音楽部の練習には、教育実習中のOGが仲間に声をかけ、演奏指導のために何人もが時間を割いて駆けつけてくれたと聞きました。そして当日、田中神父様とメールマリアベネディクタが説教と講話で、65年前と今とをつないでくださいました。

 15日には、外部のお客様をお招きしての「オープンスクール」が初めて行われました。オープニングでは年長さん、1年生、6年生が合唱を披露し、締めくくりは中高生による英語とフランス語の見事な留学報告プレゼンテーション。授業も幅広く公開し、学園全体がつながっている様子をご覧いただけた一日になりました。

 つながることの豊かさを、今私たちは享受できています。その今こそ、カリタスの皆さんの痛みを心から分かち合い、祈りのうちにつながっていく姿勢を持ち続けたいと思っています。

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