時代を超えて変わらないもの

 5月というのに北海道で40度近くまで気温が上がるなど、年々真夏日が例年より早く、より多く訪れるようになりました。また先日は、千葉や茨城で強い地震が起きています。近年の気候変化にしっかり対応していかなければ、と思っていた矢先、登戸駅付近での事件の一報が入り、驚きました。被害に遭われた方々やそのご家族、そしてカリタス小学校の皆様のご心痛を思うと、やりきれない気持ちです。

 小学校でも対応に追われましたが、NHKの速報から程なく、多くの方がご連絡をくださいました。学園長から励ましのメッセージが届いたのを皮切りに、渋谷カトリック教会から「心配しているよ」、大阪在住の卒業生から「無事を祈っています」、成城警察からはご助言を、後援会の役員からは見守りのお申し出をいただきました。そして、下校時には多くの保護者が学園に、またバス乗り場にお迎えにきてくださいました。翌朝にはスクールバスの全方面に後援会の方が見守りに立ってくださいました。学園を気遣い、思い浮かべての数々のメッセージとご奉仕は、まことにありがたいものです。

 さて、まもなく「創立記念日」を迎え、65周年に当たる今年は「記念ミサ」が行われます。小中高の最高学年が教職員とともに参列し、これまでの歩みを感謝して祈ります。

 1954年、目黒区駒場にあった修道院の一室で小学校が始まりました。その四年後に池尻教会(現在の渋谷教会の前身)の幼稚園を引き継ぎ、さらに4年後に中高を開校して学園としての形が整い、その秋に現在地に移転しました。大山街道(国道246号線)に路面電車が走っていた頃のことです。

 周辺が野菜畑や雑木林だったところに鉄筋3階建ての校舎が建ち、近隣の方は驚かれたかもしれません。この地に来て57年、時間をかけて体育館、プール、グラウンドに至る大階段等が順次整備され、40周年に聖堂が完成しました。その後、阪神淡路大震災をきっかけとして4階建ての校舎に建て替えられ、現在に至ります。

 キャンパスの内外を彩る豊かな緑は当時のまま。ですから卒業生にとっては、建物が新しくなっても中庭の欅や金木犀の位置から、校庭での朝礼の並び方、外遊び、マリア祭での行列コースなど、当時の暮らしが鮮やかによみがえってきます。

 昭和から平成、そして令和へと時代が刻まれた65年。社会は大きく変わりましたが、その間、学園に変わらず流れているもの、それは一人ひとりを「愛し愛される存在」として誠実に向き合ってくださるメール方の温かさであり、その精神に丁寧に寄り添ってくださる保護者の皆様の温かさです。時代を超えて変わらぬ温かさに、学園は支えられてきました。感謝の祈りを記念ミサで捧げようと思います。

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