【聖堂朝礼】マリア様と聖ドミニコ

 10 月になりました。教会では、10 月を「ロザリオの月」としています。1年生の皆さんはロザリオを知っていますか? 小さなものは指輪くらいの大きさ、大きなものは壁の飾りになるような大きさです。小学校の昇降口の正面にあるマリア様の像の後ろに、ロザリオが掲げられていますから、今度見てください。ロザリオのローザは薔薇のこと。ですからロザリオは「薔薇の冠」という意味になります。このロザリオは、ドミニコが聖母マリアからいただいたものだそうです。ドミニコが活躍していたのは 13 世紀、今から 800 年くらい前のことです。その頃は、同じキリスト教なのに、神さまとわたしたちの関係を勘違いしてしまった人たちがたくさんいました。
 神様は天地をお作りになった後に人をお作りになりましたね。そしてそれを見て神様は「とてもよかった」とおっしゃいました。けれども、この勘違いしてしまった人たちは、人間は悪い存在だから、これ以上増えてはいけない、というように頑固になっていました。そして、神父様たちはいけないことを言っている、教会はいけない人の集まりだ、などと言い張りました。確かに人間は悪いこともしますから、その人たちの言うことが本当で、カトリック教会は本当ではないと思う人たちが増え始めました。そんな人たちに対してドミニコは、わざわざ会いに行って、神様はやさしくて、あたたかくて、人間を心から大事にしていますよ、と伝えていきます。でも頑固な人たちですから、「はい、そうですね」なんて、なかなか言いません。ドミニコにとって、その人たちは「分からずやの、困ったさん」です。でもその人たちのために、フランスにあるトゥールーズの森の中で三日三晩、眠らずに休まずに祈り続けました。そしてお祈りに疲れて気を失いかけた時に聖母マリアが現れてドミニコを慰めてくれました。そして、ドミニコの正しさを伝えるには、大天使ガブリエルがマリアにはじめに伝えた言葉、「アヴェ・マリア、恵みに満ちた方、主はあなたと共におられます」という祈りを唱えなさい、と伝えて「聖母の薔薇の冠」と呼ばれる数珠を授けたそうです。それからドミニコは、主の祈りとアヴェ・マリアの祈りを繰り返して祈る「ロザリオの祈り」を人々に勧め、お祈りの仕方と一緒に、ロザリオである数珠も世界中に広がっていきました。わたしたちも毎朝一回ずつお祈りしますし、マリア祭でロザリオの祈りをして、6年生が飾りを作ってくれましたね。 
 このお話からわたしたちが倣いたいのは、ドミニコの「人を思う心」です。家族のためなら、あるいは好きな人のためなら、だれでもお祈りしますが、ドミニコは自分に食って掛かってくるような「分からず屋の困ったさん」のためにお祈りしたのです。これはとても大事なこと。イエスさまも、罪びとのために祈りました。イエスさまに倣ったドミニコも、同じように祈りました。「君は間違っている!」という前に、その人のために祈る心を、神様はわたしたちにくださっています。そのことを 10 月は特に思い出して、ロザリオを持っている人は、そっとお祈りしましょうね。

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