楽しむこと

 新型コロナウイルスデルタ株による急激な感染の増加、今までは感染しにくいと言われていた10代以下の年齢層も感染者数が増えてきました。医療体制も逼迫している中で、わたしたちもできるだけ感染を防がなければならないと考え、2学期から、約1週間はリモート授業でのスタートとさせていただきます。保護者のみなさまには大変ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞご理解のうえ、ご協力をいただきますようお願いいたします。

 7月、熱海市伊豆で大雨による大規模の土石流災害が起こりました。ニュースに映し出されたのは民家があっという間に土砂に巻き込まれ、間一髪難を逃れる人の姿が見える衝撃的な映像でした。今までそこに見えていた街並みが、一瞬で全く違う景色に変わってしまったのを見て、改めて自然の力の怖さを感じました。また8月には長崎、佐賀、広島、長野と日本各地で記録的な大雨と被害が相次ぎました。自然の前ではわたしたち人間は為す術はありません。しかし過去の災害から、今はできるだけ早く察知し、周囲に危険を知らせ、安全な場所に避難することができるように少しずつ工夫されています。次の悲しみをうまないために、わたしたちが、この知識を身につけ、ともに助け合いながら行動する意識を持つことが大切です。この災害で亡くなった方、まだ行方不明の方がいらっしゃいます。そして家族を失った方々、避難生活を送られている方のために祈りましょう。

  この夏休みはオリンピック・パラリンピックが開かれました。今回の東京オリンピックは、エンブレム類似問題に始まり数々の問題が続出しました。また緊急事態宣言中の開催とも重なり、不安や違和感がありました。最終的に反対の声が多い中の開催となりましたが、意外にも各国からの参加者が多いように感じました。大会では選手たちの素晴らしいパフォーマンスが発揮され、世界中に多くの感動を伝えてくれました。この大会では数多くの日本人選手の活躍や奇跡の逆転、まさかの敗退など多くのドラマがうまれました。金メダルを手に歓喜する姿や力を出せず敗れて涙する選手の姿は、毎日努力してきた証であり、その姿をとても美しく感じました。
 選手たちのインタビューの中で、「今、自分は楽しんでいるか」を自問自答しながらプレーしていたという方が数人いたことが印象的でした。「楽しむ」ことは、プレーに没頭していなければできないでしょう。そこには緊張はなく、いつも通りの自分がいて精神状態が制御できているのだと思います。「楽しむ」ことで、練習やそのことに取り組む時間が長くなり、自身が感じる時間の経過は逆に早く感じます。「楽しむ」ことは、継続や没頭、集中を作り出します。まさしく「好きこそものの上手なれ」にあたるのだろうと思います。
 また、この「楽しむ」という言葉を聞くと孔子の「論語」の中の『子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者』(論語)を思い浮かべます。
(子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)
訳:先生は言いました。「いくら何かに知識があっても、そのことを好きな人にはかなわない。また、そのことを好きな人も、それを楽しんでやる人にはかなわない。」

 つまり、野球を例に挙げると、あまり興味がないけれども、ルールやプレーのことを勉強した人よりも、いろいろなチームや選手を知っている人や試合観戦好きな人の方が野球のことをよく知っています。でもその野球好きの人も、毎日毎日、その練習やゲームも楽しんでやっているプロ野球選手たちにはかないません。何かを始めるとき、何かをうまくなるには「楽しむ」ことが一番ということです。
 遊びやスポーツ、勉強でも、それを楽しんで取り組むことができる人が高いレベルにいける人です。無理にやらせるのではなく、何事も「楽しむ」ことを忘れずに取り組んでほしいものです。

一覧に戻る
PAGETOP