あきらめない

 蝉の合唱に包まれていたキャンパスに、子どもたちの元気な笑い声が戻ってきました。夏休みの間、それぞれに充実した日々をお過ごしだったことと思います。 

 リオデジャネイロでのオリンピックでは、日本の選手がさまざまな分野で大活躍でした。私もテレビニュースでいくつかの競技を見ましたが、劣勢にあってもあきらめないで相手に立ち向かっていく勇気と粘り強さには感心するばかりでした。7日から始まるパラリンピックも注目したいところです。

 五輪会場を映し出す華やかな映像や新聞記事から選手の活躍を嬉しく思いました。一方で、今年に限ったこととは思いますが、広島と長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式や終戦記念日の全国戦没者追悼式を伝える記事が霞んでしまったようで、華やかさの陰で平和への願いが薄れていってしまわないかと一抹の危惧を抱きました。

 8月は、台風をはじめとする大雨災害が多く伝えられました。東日本や熊本の被災地はもちろん、その他の地域でも大変な思いをされたようです。私も8月前半に福島県いわき市~南相馬の地域を訪ねました。大きな防潮堤が完成した部分もあれば、廃屋が取り払われて地域全体が嵩上げされた地区もありました。すべてを失くしてもあきらめず、ここまで復旧するご苦労がどれほどであったかを思うと同時に、5年経っても未だに更地を作るのがやっとの地域もあることを目の当たりにして、まだまだ関心を持ち続けなければ、と心を新たにしました。

 さて、以前にもお知らせしましたが、誰からも手を差し伸べられることのない、孤独な路傍の方々に対して、全身全霊で寄り添い励まされたマザーテレサが、この9月4日に列聖されます。聖ドミニコと同様に、聖人の列に加えられるマザーテレサ。弱い立場、貧しさに打ちひしがれた方々を友とされた、その生涯については皆様もご存じの通りです。困難があってもあきらめず貧しさに寄り添い、平和の道具として「地上の暗闇」に光を灯し続けました。

「私は神様の手の中の鉛筆にすぎません。神様が考え、神様が書くのです」という言葉のうちに、すべてを神に委ねてその身を捧げられた謙虚な毎日に心を打たれます。同時に、1981年に来日されたマザーが「日本は貧しい国ですね」と語られた言葉の意味の深さを、「平和の祭典」を味わったこの機会にこそ、かみしめておきたいと思います。

 行事の多い2学期。学園祭も間もなくです。ステージに立つ学年はもちろん、展示物の制作でも全校合唱の練習でも張り切っている子どもたち。また運動会の準備も少しずつ始まります。練習や準備で困難を感じても、両手を広げて神様からの応援を受け取り、あきらめないで前進してほしいものです。

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