祈る5月に

「声を掛けて励まし合ってください」

「我慢せず、助けを求めてください」

被災地の実況中継に合わせて語りかけるNHKアナウンサーの声を聴きながら、祈る思いで画面を見続けた方もあったことでしょう。4月14日から続いた熊本地震は数日経っても収束が見通せず、行方不明者の捜索を悪天候が阻むなど、焦燥感が漂いました。

洗濯機の中にいるようだった、と被災者が表現したほど激しい揺れに何度も襲われ、「いつまで続くのか」「どこまで広がるのか」と、どこに避難しても安心できない状況の中で、どれほど不安と恐怖に苛まれたことでしょう。発災から2週間。今できることを皆で考え、実行に移す行動力が望まれます。

同じ時期にエクアドルでも大地震がありました。熊本ほどに報道されていませんが、やはり支援が必要です。

週明けの18日、熊本の被災者に向けて「私たちにできることは何か」と各学級で考えました。6年生は具体的な寄付品目を考える一方、混乱している今は送る時期ではない、という冷静な意見もありました。5年生は「私たちの歌声を届けて慰めてあげたい」と日記に書きました。4年生はアレルギーの子のために薬を送りたい、と資料を持参しました。2年生も日記の中で「毎日のご飯を大切にいただこうと思いました」と記してくれました。今ここにいて出来ることを熱心に考えた子どもたちに、光を見出します。

先日はおにぎり献金に多大なるご協力をくださり、感謝申し上げます。児童会は、今年度最初の聖堂朝礼の場を6年生が取り仕切って「祈りの集い」を行い、自分たちで調べてまとめた被災地の現況を伝え、全校の祈りへと導きました。わずかな準備期間でしたが、見事な行動力を見せてくれました。

熊本や大分には、カトリック小学校はありません。けれども幼稚園や中学校・高校はいくつもあります。その1つ、熊本マリスト学園で寮生活を送っていた高校2年の杉沢さんは仙台市出身。小学校5年時に東日本大震災を経験しています。今回の震災で帰省を勧められ、福岡経由で仙台に戻りました。久しぶりに実家に戻った彼はたった1人で仙台駅前に立ち、熊本への街頭募金を数日にわたって行ったそうです。若いマリスト=「聖母マリアに仕える者」=の行動力に感心しました。

神様のみ旨を受け止め、神様にご自分のすべてを委ねた聖母マリア。その聖母に祈り、仕える心は、聖ドミニコも同じく持っていました。その深い祈りと学び、そして類まれな行動力が、世界に広がり800年続く聖ドミニコ修道会の礎となっています。

5月は聖母月。イエスや使徒たちの困難をともに歩んだ聖母に倣い行動した子どもたちとともに、私たちも被災者の困難を心に留めて聖母の取り成しと祝福を願い、祈る5月にしましょう。

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