勇気をもって、心を向ける

「校長先生、緊張してる?」

小学校ステージの直前、体育館の入口で入場を待っていた1年生から声をかけられました。皆さんの歌声を楽しみにしていますよ、と答えたら、

「えへへ。私、すごくどきどき!」

と笑顔を返してくれました。この緊張に気づいてほしいという気持ちとともに、勇気を出してステージに心を向ける1年生の姿に頼もしさを感じ、この半年の成長を嬉しく思いました。

先日の学園祭に向けて、子どもたちはそれぞれにまごころを込めて準備しました。一年生の合唱や4年生の劇、各クラブの発表にたくさんの拍手をくださり、また力作揃いの作品展示も丁寧にご覧くださりありがとうございます。お越しくださった皆様に、あらためて感謝申し上げます。

つい先日のことなのに、子どもたちにはすでに「思い出の日」となっているようで、今は早くも運動会に心を向け直して毎日を活発に過ごしています。

さて、このところシリアやアフリカから続々と難民がヨーロッパ諸国に向かうニュースが相次いで伝えられ、心が痛みます。それまで暮らしていた環境から立ち退きを迫られる人々の苦難には、計り知れないものがあります。

9月の最終日曜日は「世界難民移住移動の日」として世界中の教会で祈りました。教皇フランシスコはこの日に向けて、早くから次のようなメッセージを世界に向けて発信していました。

 

わたしたちは、信仰と希望と愛から生じる勇気によって、人間の悲惨さと自分の間の隔たりを縮めることができます。イエス・キリストは、移住者、難民、強制移住者、亡命者の中にいるご自分に、わたしたちが気づくのをいつも待っておられます。

世界に目を向けるまでもなく国内でも、それぞれに原因は違いますが困難の渦中にある方々の姿がすぐに思い浮かびます。東日本大震災での地震や津波により被災された方々、原発事故によって立ち退きを強いられている方々、さらにはこの九月の関東東北豪雨で未だに帰宅の叶わない方々等…。今ここに聖ドミニコがいらっしゃれば、そうした隣人の姿の中に主イエスを見出し、自らのすべてを捨てて望ましい支援に身を投じたことでしょう。

隣人の困難に気づくこと、隣人の困難を忘れないこと、寄り添うこと、そして隣人から難民を生み出さないこと。それは特別な装備を持ったり、特殊な訓練を受けたりしなくても、今の私たちにできることがありそうです。その考えるヒントを4年生が「レストランまごころ」を通して、持つべき勇気と希望を1年生が「Walk in the Light」の合唱に包んで届けてくれました。

平和の道具として、勇気をもって心を向けること。そのまごころは、神様の御心そのものでもあるのです。

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