みんなでたすけます

七月は一学期の終わり、でも子どもたちにとっては「夏休みの始まり」です。ご家族とともに大いに遊び、また自ら学ぶ日々であるようにと願います。

6月の末に、会津若松で行われた全国カトリック学校の一泊研修に参加してきました。初日はカリタスジャパンを統括する菊池司教のご講話でした。東日本大震災被災者への支援がオールジャパン体制で行われているというご説明とともに、世界各地の被災地からの声が届けられました。アフリカでもシリアでもインドでも、そして福島でも、被災から半年ほどで聞こえてくる思いは共通だそうです。「私たちはもう忘れられている」と。だからこそ、息の長い支援を続けると話されました。

2日目には原発事故で全町避難を余儀なくされた福島県大熊町の渡辺町長のご講演でした。この町は高い放射線のため庁舎が使えなくなり、避難した町民とともに行政機能も会津若松市に移されました。帰還のめどの立たない中、町長は住民に希望を持たせようと、10数年先の「新しい街づくり」を模索し、住民を励まし続けています。同時に「新しい街ができるまでは生きていない私たちの今日明日をどうしてくれるんだ」と詰め寄るお年寄りの声にも耳を傾けています。どちらにも応えなければならないこの町長の苦悩もまた、「忘れられている」のかもしれません。

会津若松から戻ると、私のデスクの上にいくつもの封筒が載せられていました。それは、先日のおにぎり献金が入れられていた封筒でした。

まだ漢字を書けない1年生の封筒には「じしんやつなみにあったひとへ、だいじょうぶですか? みんなでたすけます」と書いてありました。4年生の封筒には「被災している方に笑顔がふえますように」「みんなの笑顔につないでください」など、それぞれの思いが書かれていました。すべてをここに記すことは出来ませんが、与えられた課題ではなく、自ら進んで考え、封筒に書き添えた子どもたちの心はまことに尊く、思いは祈りとなって届けられました。この祈りは、ただお金を拠出するだけでないこの献金の意義を、子どもたちだけでなくご家庭がご一緒に理解してくださっていることの証とも言えます。心より感謝申し上げます。

児童会もまた、おにぎり献金を機会として、シリア難民やネパールの被災者の状況を調べ、全校に向けて朝礼で発信する準備を整えました。予定していた日に田園都市線が大幅遅延してしまったため延期されましたが、オールドミニコ体制で「犠牲」と「学び」と「祈り」が一体となっていることに大いなる光を見出します。

「忘れていませんよ」という声をお届けする、それだけで被災地が勇気づけられることを心に留め、平和の道具である私たちが、犠牲と学びと祈りを息長く続けることができますように。

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