平和の女王とともに

熊本地震から6週間が経ちました。だんだん報道が少なくなってきましたが、いまだに避難生活を強いられている方々が多くいらっしゃいます。マリア祭に向けて準備した霊的花束の目標として、被災者を心に留めて祈ることを日々積み重ねた子どもも多く、その気持ちをありがたく思いました。

同時に、私たちもいつ被災者になるかわかりませんから、その心構えをしっかりと持っていなければなりません。

先日は学園防災引取訓練にご協力くださりありがとうございました。大地震があれば、大きな混乱の中で一人ひとりが対処をしなければなりません。往復ともに真剣に避難路を観察されたご家庭が数多くあり、心強く思いました。また今回の訓練でも、中高生が児童の非常食体験の世話をしてくれました。アルファ米やペットボトルの重たい箱を地下から運び、丁寧に配膳する姿には、児童の不安を感じとり、寄り添うことで慰める温かさがありました。

5月は、この防災訓練のほか、各学年の授業参観、3年生の町探検、3・5年生の林間学校、そしてマリア祭と、毎日のように行事がありました。

5年蓼科林間学校では、出発準備が万端整った時期に体調不良や思わぬ怪我で参加できなくなった児童がいました。そのご家族は、本人の落胆した気持ちを支えながら看護をし、なおかつ級友への心配りをしてくださいました。

参加を断念することになった時、「参加できなくなったので、係として準備したものをお届けに来ました」とわざわざ来校されたお母様。また「副班長として持参しなければならないものが教室の机の中にありますので…」と緊急入院先から伝えてくださったお母様。それぞれに看護で手一杯、我が子のことで精一杯、という状況にあっても、クラスのことを考えてくださったご配慮に、また一つ学ばせていただきました。

どんな場面に出会っても、相手を感じ、大切にして、できることをする。聖母マリアは、天使による受胎告知に神の明確な思いを感じ、戸惑いを乗り越えて大切に受け止めました。そしてやはり神の力によって高齢の叔母のエリザベツが懐胎したことを天使から聞き、その家を訪ねます。それは、神からいただいた特別なお恵みを受け容れた者同士の深い分かち合いとなり、互いに大切にし合う数か月となりました。マリアの訪問に胎内の子が喜び踊ったと告げるエリザベツに、マリアが神を讃えた一節は「マリアの讃歌」として語り継がれ、歌い継がれています。

相手を感じ、大切にするマリアのように、聖ドミニコも常に相手を感じ、大切にしました。修道会設立800年を祝う今年は、聖母を慕い、祈った聖ドミニコに改めて目を向ける大きな節目です。私たちも「平和の女王」と呼ばれる聖母マリアと、ともに歩みたいものです。

一覧に戻る
PAGETOP